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卒業熊特集 第三弾:トモチーニ

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卒業生インタビュー3人目、森智也(別名:トモチーニ)さん。

 

 

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「あぁ、宇宙の人ね!」でおなじみのトモチーニさん。

宇宙への熱い想いが伺える一方で、メディア制作、団体の立ち上げなど様々な分野で活躍されてます。

 

一体、彼はなぜこんなにも宇宙が好きなのか?

卒業後は何をするのか?

 

数日後に投稿されるご本人の卒業記事の前の、前菜的なインタビュー記事です。

ちょいと長いですが、最後までお楽しみくださいー!

 

Q.トモチーニさん!早速ですけど、ブラウンでの大学生活1年目から4年目それぞれ、どんな年でした?

。 

冒険の年だね、1年目は。

宇宙に関することを何かやりたいって気持ちはあったけど、アプローチの方法がわからなくて。イタリア語、エンジニアリング、天文学、CS (コンピューターサイエンス)をとって。

 

バラバラな科目をとって、結局、 天文学に落ち着いたのね。

やっぱダイレクトに宇宙を学ぶことが好きだったみたい。

 

1年目の終わりには、やっぱ、宇宙は俺の居場所だ。みたいな。行ってないけどね。

「好きなことが、本当に好きなんだな」ってわかった年だね。

 

Q. ほう。そして2年目ですね。

.

2年目イタリアいったんだ。

 

イタリアに行ったら「宇宙論の歴史」と「科学の歴史」っていう科目をとって。

道端で偶然、NASAとかヨーロッパ宇宙機関で写真を撮っているっていう人に会ったりして。

どこいっても、宇宙になっちゃった。国は違えども宇宙を冒険して。

 

で、3年目は自分が行きたい方向性を一番実現できるような場所が欲しかったから、

Metaplanetaっていう団体を自分で作って

 

で、夏の初めに、まず、Metaplanetaの掲げる理念っていうのが

本当に意義のあるものなのかっていうのを確認するために、ヨーロッパを回ったのね。

.

Q. えーと、そもそもトモチーニさんが立ち上げたMetaplanetaってどういう団体?どんな理念を掲げているんでしたっけ?

 

理念っていうのは、宇宙業界にいま必要なのは多様性だ、っていう。宇宙への学際的なアプローチを、オンライン(情報発信)とオフライン(ワークショップ等)の両方で追求している団体なんだ。

 

今は「宇宙=理系」という固定概念が一般的に浸透していて、日本にも世界にも宇宙開発の促進を試みている団体はあるけれど、どれも結局はエンジニアリングや科学に落ち着いてしまってる。まぁ技術が無いと宇宙に行けないから当たり前なんだろうけどね。でも民間宇宙開発も進んできている今、その概念が覆されないと、これからの宇宙開発っていうのは本当に進まないし。

 

「宇宙が好き」っていう学生や大人は世の中にたくさんいると思うけれど、そのほとんどが科学者でもないし、エンジニアでもないでしょじゃぁ、例え理系の職業に就いていなくても宇宙業界に関われる居場所っていうのは存在するのか?っていうか存在するはずだ、っていうのがHypothesis ( 仮説 ) で。それを証明するために ヨーロッパの各国を回ったのね。

 

すると、実際に宇宙建築家や宇宙法律学者とか、そういう人にあって。

あ、じゃあまず、こういう人がいるんだっていうのと。

 

各国でプレゼンをするたびに、

“I think that’s worth doing”ってみんな言ってくれて、支援してくれたから。

 

じゃあこれ、マジでやってみようってことで。

 

俺は日本に戻って、夏に、 建築家とJAXAの地質学者をお招きして、学生を呼んで、「月面基地をデザインしよう」っていうちっちゃいワークショップをやったのね。

 

そこで新しく見えてきたのは、宇宙を全く関係ないような分野から覗くことで、新しい宇宙のあり方が見えてくるっていうのと宇宙開発には、まだまだ発掘されていない冒険の仕方があるっていうのがわかった。


Q. ん・・・?  トモチーニさん自身は、物理も勉強していたりして「理系」の括りに入るわけで。そんな中「宇宙=理系だけではない」という考えを持つきっかけは?

..

1年生の夏に、ある宇宙大好き少女に出会ったんだけれども、

「自分は数学も、科学もできないし、理系ではないから

という理由で宇宙への道を諦めていた子がいて。

 

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そこで俺が思ったのは、俺はもちろん天文学勉強してるし、物理も勉強してるんだけども。

俺はぶっちゃけ物理のセオリーを読むのは好きでも、問題を解くのは好きじゃないし、 

数学も好きじゃないし。

俺は宇宙というコンセプトが好きで

 

実際、その子とそんなに変わらないのね、俺

 

俺は映像とか、ライティングや教育にも興味あるし、ワークショップをデザインするのも大好きだし。

かつ、宇宙が大好き。

 

俺のいろんな興味のある分野をどうやってコンバインできるかっていうのを考えた時に、そういうプラットフォームを作ろうと思ったのね。それがMetaplaneta。要するに自分のわがままを許してくれる場所を自分で作ってしまった感じ。

 

だから俺は別に、研究者になりたくないし、研究者になれないと思うし、性格的には。

..

.
Q. 宇宙関係のことをやめようと思った時期はありますか? 

 

宇宙をやめようと思った時期はないけど、

一回宇宙から離れてみよう思った時期はあるのね。

それがまさに4年目の最初なんだけど。

 

Metaplanetaのワークショップをやってわかったことは、

宇宙っていうのは、 いま既存の宇宙業界にいるだけでは新しいことが見えてこない

っていうことだったのね。

 

じゃあどうやったら宇宙開発を促進できるかっていうと、

宇宙の外から物事を見つめなきゃいけない、という結論に達したのね。

だから、ボスキャリ(ボストン・キャリアフォーラム) に行ってみて、なんか俺が面白いと思う会社ないかな、とか。

 

でもやっぱり、宇宙を外からみなきゃいけないっていうのは頭で考えていても、

実際に、俺が心からそこに行きたいかっていうと、そうではなかった。

 

Q.宇宙を外から見る」ためにボスキャリに行ったけどなんか違った。そこからどうされたんですか?

 

今年の2月に、Metaplanetaはブラウン大学と共催で、3日間に渡る宇宙カンファレンス&ワークショップを開催したのね。100人を超える学生、教授、そしてNASA職員を含む業界のプロ達が各分野から集まってきてくれて。

 

そこで、わざわざ俺が外にいくんじゃなくて、中にいながら、外の物を持ってくるっていうのは可能だってことがわかって。

 

つまり、宇宙業界にいながらも、外の視点をもってくることは可能だと思ったの

やっぱり俺が一番刺激されるのは、宇宙業界なんだよ、なんだかんだ言って

 

だからそういった意味で迷いの時期でもあったし、新たな冒険に出る年でもあった。


Q. 卒業後の予定は?

 

Metaplanetaとして10月に ローマでまた宇宙カンファレンスを開くのね。

その準備もあるし、別に就職の話を進めている会社あって。その会社は、宇宙空間に 360度カメラを打ち上げることで撮影できる映像を、Virtual Reality (VR)に変換して、地球にいながら宇宙空間を体験できるサービスを提供している。このアプローチにはかなり興味があって、数ヶ月お邪魔するつもり。

 

同時並行でテネシー州にある「月面基地を建てるにはどうすればいいか」っていうのを考えているNPOで、バイト的な感じで働く事も決まってる。

 

簡単に言うと、彼らは、現在開発が進められている、あるいはすでに開発されているテクノロジーを組み合わせて、月面までのロードマップを作っているのね。

「地球に応用できて、かつ、月面にも応用できるテクノロジーの開発とサポートを行っている団体。その会社でリサーチアシスタントして働くことになっている。

 

ただ、10月のローマが終わってからの計画は今のところ無いです。

.卒業してすぐにMetaplanetaを会社にするとかではなくて、とりあえず宇宙業界に足を踏み入れてから、自分がどう動くかを見極めることにしたんだ。

.

Q. 以前の記事で、T型人間  vs π型人間 の話をしていましたよね。「自分の専門分野の他にも広く知識や関心を持つ」T型人間に対して、π型人間は「専門分野の他に、もう一つ同じくらい情熱的になれる分野を持つ人」。

「宇宙」と、その他に興味のある分野「 メディア・映像制作」などは、平行線なんですか?どっちかがメイン?

 

あのね、その時に書いたπと今のπはちょっと違うと思うんだよ。っていうのは今は、また新たに、πの二つの線を見つけているところなのね。

俺にとって、宇宙は情熱じゃないってことがわかったの

宇宙は俺にとって、新たな生き方や視点を生み出せるプラットフォームなんだ。

今更になって思い始めたんだけど情熱っていうのは・・・(略)・・・・・だと思うの。・・・とかは・・・・・・(略)・・・・・・情熱の本質じゃない。・・・・(略)・・・。


.

Q. ギョギョギョ!面白いですね。その情熱の定義については、卒業記事で明らかになるってことで、「宇宙がプラットフォーム」についてもうちょい説明してもらっていいですか?


.

宇宙って、常識が覆される場所なのね。

ていうか、常識がない場所なのね、宇宙って

だから、何をやろうとしようとしても、新しいことなの。

 

白紙として捉えても良いんだけど、一応ルールはあるわけね。

 

ルールっていうのは、宇宙の極限環境。

例えば、宇宙空間って真空じゃん。

地球の様に大気はないし、熱源がない場所もある。

 

数字出すと、宇宙空間っていうのは、だいたい摂氏 -270度。 

絶対零度は-272度だから、本当に寒い場所なのね。

 

その寒い場所で、人間が生存しなきゃいけないって考えると、

それこそ、常識はないんだけれども、ルールはある。

 

 

Q. 宇宙では、常識はないけど、ルールはある・・?

.

外に出たら死んじゃうっていう、当たり前のルール。この他にも制約がいっぱいあるのね。

その制約をどう乗り越えるかで、人間っていうのは新しい視点を生み出すことができる。

 

 

そういった意味で宇宙にいくことによって、

人類っていうのは、本質的に成長すると思っているし、人類の思考範囲を広げてくれるし、創造性を刺激してくれる場所だと思うのね。

 

だからこそ、宇宙で人が暮らすには、科学とか、工学だけじゃ成り立たないわけよ。

それこそ心理学、社会学、建築とか、デザインも、食事も、影響してくるし。

全てのものがつながってくるのね。

 

関連性がない分野っていうのが、宇宙は集まってくれる場所なんだ。

そこで、人間が今まで思っていなかったような生き方や視点が、生まれてくるわけ。

 

23年間いろいろと手をつけてきたけど、それらの経験がこのプラットフォーム上でようやく活きている感じがする。

 

Q. それにしても、小さい頃から宇宙に興味があって、それが23歳の今でも続くってすごいですよね。

.

俺、子供の頃まず深海魚が大好きで、恐竜が好きになって。

で、そっから宇宙になったのね。

海底の底からどんどん上に上がっている。

 

子供の頃から、親はなんでも好きなものがあったら関連したものを買ってくれたり、そういう場所に連れて行ってくれたから、いろんな分野に興味あった。

 

それこそ説明つかないけど、一番自分が落ち着いたのは宇宙で。

宇宙は今でも「生きているから」かな。

恐竜は死んでいるし、深海魚っていうのは俺は泳ぐのあんま好きじゃないっていうのもあったけど。俺がもし海賊の子供とか漁師の子供とかだったら、海の方が好きだったかもしれないけどね。

 

宇宙っていうのは常に上にあったし。

一番感激したのが、 7歳のときクリスマスにもらった天体望遠鏡から見た月が、すごい美しくて。いまでもその時のゾクゾク感、覚えているんだけど。

だから、やっぱり宇宙が好きなんだよな。

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.

でも一番俺の悪い性格は、中途半端なんだよ。昔から俺、本書くの好きで、小学生の頃から絵本とか小説とか書いてたんだけど、引き出しから持ってきたらわかるんだけど、全部ページ7とかで終わってるから。文章、途中で終わってて、次の新しい作品に手出してるから。続かないの。何やっても。

 

でも、唯一続いているのが、宇宙への想い。飽きっぽい性格っていうのは今でも残っていると思うし。でも逆に、飽きっぽいからこそ色んな分野を経験できているのかな、っていう風に捉えようとしている。ポジティブに考えて。

 

飽きるまでの過程で、すでに俺はその分野の面白いところをある程度見出すことができるから、違う分野に行っても繋がりを見出せる。そこで生まれる新しい視点を、頭のなかで勝手に作り出しているっていうのはあるのかな。

 

Q. なるほど… 最後に一言お願いします!

 

 それでは皆さん、ボナジョルナータ
.

Q. お、おう。ありがとうございます。では、ボナジョルナータ。

 

 


 

 

 

 

森智也さん

公式HPはこちらから 

これまでのブラ熊の記事はこちらから

Metaplaneta Japan のHPはこちらから 

 

.

トモチーニさんありがとうございます。ご卒業おめでとうございます。

ご本人の記事は数日後に投稿されます。乞うご期待!

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卒業熊特集 第二弾:小高かの子

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卒業生インタビュー 2人目、小高かの子。

.

< 経歴 おさらい >
12歳の時、一人で渡米。
ブラウン大学では美術史/ 建築士専攻。
今年、日本にある外資の金融に入社予定。

 

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.
なぜ美術史専攻が金融に?
というかなぜかのさんが金融に?
数日後にご本人が投稿する卒業記事の前の、前菜的なインタビュー記事です。
ちょいと長めですが、最後まで是非。
かのさん風フォントでお楽しみください。
ーーー
 Q. かのさん!卒業後は日本で働くみたいですけど、今後の予定は?
 .
かの:一応就職するから、最低でも5年は就職する会社にいるんじゃないかなって思っている。
いつかはやめたい。というか、一生いるわけではないと思う。
.
で、10年とかだったらすごいお金貯まってるだろうから、
そのお金できっと、大学院に行きたいって思うのね。
.
とりあえず、いまは金融が楽しそうだから行くし、
でも、最終的な将来の夢はやっぱアーティストになることだから、MFAいって、 美術やって。
北欧の大学院もいいなって最近思ってきている。もしかしたらまた留学生になるかも。
.
Q. てっきり、かのさんの「目標」がアーティストになる、で金融に行くのは、目標のためにお金を貯める「手段」だと思っていました。

かの:あ、そうではない。
目標 = アーティストだとして、
目標のために、お金を貯めるために、金融に行くわけではない。うちは。
.
アートって、作ることって、別に職業にしなくてもいいじゃん
今の自分だって、ビジュアルアート専攻してないのに、ちゃんとアート作れているし。
.
だから今やんなくってもいいな、って。
60歳になってアーティストになっても、別にいいわけじゃん。
.
だから、急いでないの。
死ぬまでに、自分でアーティストっていう、わかんないな、職業にするかは。
でも、楽しそうだから金融入るの。
,.
 Q. 金融に決める前、美術関係の会社でインターンをしてたんでしたっけ、2年生に?
.
好きなものを仕事にしたいって、もともと、思ってたから。
じゃあアート、いいな、って。
Sophomore (2年生) の夏に、世界で一番大きいアート・オークション会社でインターンしたのね。
 .
そしたら、んー面白くないって。
まず、人の作品興味無い。
人の作品で仕事することはマジで興味ない。
 .
人にアートを売ることが  too subjective で (主観的すぎて)無理って思ったの。
.
 Q.   Too subjective? っていうのはどういうこと?
.
例えば、すごい好きな、ピカソの絵があるとするじゃん。
で、そのピカソの絵を
ピカソだと分かんなくてもその絵が、めっちゃ良い、と思うから買う人なのか、
それとも、ピカソの絵が自分の家の壁にかかっていることが好きで、買うのか。
.
アート業界って車とかと同じで、ステータスだから。アートを持っていることって。
そういう人間に、うちは作品を売りたくないと思ったの
.
そしたらなんか
アート関係の仕事って、なんかちょっと合わないかもしれない、って思って。
 .
やばい、やることわかんなくなっちゃった。ってなって。
2年夏の終わりに。
Q. そのオークション会社でインターンした後、「好きなことを仕事としてできたら」ってことについて記事に書いてましたよね。以下抜粋:
「好きなことを仕事として出来たら、どれだけ幸せなことなのだろう。」
.
これ、よく言いますよね。
私もこう思っていた一人でした。
.
でも、もしかしたら、好きなことと向き合うのって、
お金とか、タスクとか、やらなきゃいけないこと!とか、締め切りとか色々、
そういうしがらみから離れた、本当に『自分の意志』だけで向き合える特別なポジションに置きながらの方がいいのかなーって。
思い始めてたり。笑
— 『インターン、ラストウィークはいりました。』 2014年7月28日
そう、それ。
やったあとから、すごい違和感感じ始めたの。
.
小学校とかでさ、「算数の先生めっちゃ嫌いだから、算数嫌いになっちゃった人」とかいるじゃん。
うち、そういう風にしたくなかったの。自分の好きなことを。
仕事で、これやりたくないって思うことを「やらされる」ことによって、
好きなことなのに、嫌いになっちゃうんじゃないかなって思ったの。
.
ちょっと怖いんだけど。
外的要因で、自分の信じていたものが、どんどん汚れていくのが耐えられなかったうちは。

..

 Q. それでアートから、金融に?
じゃあもう絶対に行かないって思っていたところ、180度反対のところ、に行ってみよう。
 で、思いついたのが金融だった。
.うち父親が金融なのね。すごい金融に対してプレジュディス(偏見)があったの。
絶対になりたくないって思ってたの、バンカーにちっちゃい頃から。
 .
でも、インターンが転機で。3年のボスキャリだね。
「(金融業界について) 何も知りません」って感じだったんだけど、受けたら幸運にも受かっちゃって。
 .
10週間いたからすごい仲良くなった人とかいて。
普通に帰ったら飲みに行くような人とか、好きなアーティストの話をひたすらできるような人とか。

.

.そういう風な人たちに出会えて、この業界にも気の合う人はいるんだなって気づいて。
たまたまそういう人が多い部署が、うちが今入る部署。
で、そのチームの人たちのやっていることも、その人たちもめちゃくちゃ好きだったの。
 .
その他はぶっちゃけ興味ないのね。あんまり。
だから、金融業界全体にはあんまり興味無いの。うちは。
そのチームだから、一緒に働きたいって思った。
 .
Q. いくらチームの人や仕事内容が好きでも、何時間も会社にいるわけで。金融の世界にいること自体で、「染められていく」怖さはある?
 .
それがいま一番怖い。愛着もなにもない。金融という仕事に対して。
それは面白いこともしてるし、面白い人もいるし。でも、お金の力って怖いし。やっぱり。
 .
Q. その怖さの、天秤の反対側にあったのは?
.
うーん
怖さはさ、「こうなるかもしれない」っていう将来の話じゃん、未来の話じゃん。
でも、うちがこのうちのチームに行きたい、って思った理由ってのは「見たもの」なんだよね。
.
自分がインターンして、その人たちともう会ってんじゃん、どんな人かも知ってんじゃん。
「気が合った」っていうその事実があるわけじゃん。揺るぎない。
この人たちはこういう仕事をしている っていうのも、given (すでに分かっている条件) なわけ。
.
でも将来の話しに関しては、もしかしたらうちは、染められないのかもしれないじゃん。
だから、怖がってんのは unsure (不確か) だからなわけ、将来。
.
それと、これだったら。
目の前にあるものの方が、信じるべきだよね、って思う
.
Q. では今後、アート続けるとなると 仕事は仕事、アートはアート?つまり、仕事とアートは別?
そうだね。そうだと思う。
 .
でもなんか。
 .
これは言わなくてもいいことなのかもしれないけど
アーティーストっていう人物の定義が、うちけっこう3年ぐらい前までは
「ペインター」とか、「イラストレーター」とか、
職業として、名刺に書いてある肩書きが「アートを作っている人」だったら、アーティストだと思ってたの。
.
でも、友達と「それって違うよね。」って話になってて。
アートつくってても、アーティストっぽくない人っていない?みたいな。
.
要は、アーティストになりたいんではなくて、
アーティスティックに生きたいんだね、って話になったの。

 

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 .
Q. アーティスティックに生きたい・・?

.

例えば、けんちゃん(中川健太)。
あの人は、アーティストではないじゃん。
でも彼はアーティスティックなんだよね。
.
だから、そういう人間で生きていければいいなって、ちょっと思い始めている。
それは職業にしなくていいし。
.
ずーっと金融で働いてたとしても、土日でアート作ってれば、自分のことアーティストって呼べるじゃん。
しかも誰もそんな「あなたはアーティスト」で「あなたはアーティストじゃありませーん」
なんて言えないから、それはすごいアートの強み。

.

逆に金融では言えないじゃん。
私、土日で株トレーディングしてるんで、金融マンです、とはいえないじゃん。
だからアートはフレキシブルだなって思う。
Q.   いま、就職決まって、なにやってるんですか?

.

もともとうち、Honors Thesis (卒業論文) やるつもりだったの。で、受かってて。
でも、金融いくって決めてから「やばい、あと1年しか学生生活ない!」って急に思い始めたの。

.

そしたら、今やれることなんだろうって思ったら、「アートだ」って思って
制作に専念したいから、っていって Thesis 辞めたの、今年の初め。
 .
今個展やるって、さっきも話したけど。

.

個展はやっぱ
学生生活の終わりの節目であり。
留学生活の終わりの節目でもあり。
 .
あと仕事をする、ってなると、あんま自由ではなくなるわけじゃん。
その前に、今までやったことを日本の人たちに見てもらいたいのもあって。
それのためにいま、絵描いてたりしてる。
.
Q.   残り一ヶ月。ブラウンでやり残したことは?
.
ないな。とにかくお世話になった人。年上とかじゃなくて年下とかも。すごい、ありがとう言いたい。
よく言うじゃん。付き合っている人とかに「好き」「好き」って言い過ぎると 大事さが減るとか。
うち、全然思わないの。思ったら言いたいの。
 .
「いつも、ありがとう。」ってすごく小っ恥ずかしいけど、どんどん言っていこうと思うの。
思った瞬間に。てか、そうやって生きてきたから。
今、ほんと楽しいわ、っていうのを、思うだけじゃなくて、
相手に伝えたいっていう欲がすごいあるから。
どんどん出していこうと思う。残り一ヶ月。
 .

.


.

.

,

小高かの子さん
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.

かのさん、ありがとうございます。
ご本人の卒業記事は数日後です!乞うご期待。
 .

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卒業熊特集 第一弾:マーティン

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卒業生、一人目。マーティン・カールセン。

 

ブラ熊では「父はライス。僕はナン。」の記事を始めとし、

食堂の果物と共にだるそうな顔で写る写真を載せたブログ記事を投稿するなど、

独自のユーモアで読者をその都度驚かせてきた。

 

そんなマーティンも卒業。

一体彼はブラウン大学での4年間をどう振り返り、今後どう歩んでいくのか。

 

話を聞く直前、先日、サッカーで怪我を負ったと彼は話していた。

 

I had an injury, so I’m not myself.

「負傷したから、僕は今、僕ではない」

 

 

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先行き不安な状況で、始まるインタビュー。

よろしくお願いしまーす

 

 

— マーティンは、サッカー、IFF(Ivy Film Fetival) とか、

JCA(日本文化協会)ではまさかの会長だったり、いろいろと課外活動に取り組んでいたみたいだけど、ブラ熊はどうでした?

 

マーティン:

今でもカイルとか智也とか they’re my suite mates(スイートで一緒に住んでいる)。一生強い絆。

 

夏の企画として、自分では実際にこれ「けっこー無理じゃない?」って何回も思ってたことを実際にやったので、時間と人、ちゃんとした計画があれば「無理が可能になる」ってことにも気づいたし。

 

 

— 卒業記事、若干テキトーな気がしないでもないでもなかったですけど。

 

マーティン:

そうだね。その前の記事は、テキトーに書いていた記事だったから。

流れとしてテキトーになったと思います。

 

I don’t remember my 卒業記事。

結構、自分は1年目で、言いたいこと全部言った。

 

— あらま

 

マーティン:

2年目正直言うことなかったので、面白い記事とか、あまりアドバイスになってない記事とか。

「てきとー」って思うかもしれないけど、実際、考えて作ったものだったので。

 

そこまで真面目に読んでほしくはないと思います。

気楽に読んで、変だなと思ってください。

 

— なるほど。あと、そんな敬語で話さなくていいですよ!

 

マーティン:

I might speak formally, or I might not. Depending on how it’s going. I need to practice.

(かしこまって話すか話さないかは状況による。日本語練習しなきゃいけないから)

 

やっぱり 仕事始めるじゃん。

だから磨かないと、最初の頃は苦労すると思うので。

大学卒業する前、2週間ぐらいあるから、日本語の特訓をすると思います。

 

— おお、特訓って?

 

マーティン:

知らない。アニメ、アニメ。アニメと漫画。真面目な勉強と見せかけて。

苦労すると思うので。頑張りたいと思います。

 

– 日本語、英語以外にもフランス語を話せるんでしたっけ?

 

マーティン: 

フランス語、ドイツ語を、ここで習っていて。言語習うの好きだから。

 

特別うまくないけど。

本当うまくないけど。

全然うまくないけど。

4ヶ国語話せ・・話せ・・だいたい話せる。

.

— だいたい?笑

.  

マーティン:

全然話せないけど 笑

もう一つ、4ヶ国語の中にもう1ヶ国語いれたいな。次はなんか、アジアの。

 

.

— 言語習うのは、どういうところが楽しいんですか?

 

.マーティン:

上達するのもすぐ気付くことができるから、「自分はうまくなってるんだなぁ」ってすごい、その満足感。

あとはやっぱり、大学で習う9割以上は、二度と使わない「知識」だと自分は思っているんだけど。

 

得たスキル、成長はあとで使うことできるけど、

「知識自体」はacademics(その学問・分野) に入らないと、ほとんど使わないものなんで。

 

言語は、記憶に残る。

使いたかったら使えるものなので、いつもとっておく、自分のなんか

秘密のweapon? 秘密…秘密… What is it. 秘密兵器。That’s the word.

 

 

— そっか。東京にある外資の金融で働くんですよね。もともと日本で働きたいと思っていたんですか?

 

マーティン:

3年目に決めたこと。もちろんアメリカは住み心地がいい国だけど、東京に戻ることにして。

「留学」として入った形だったので、留学のあとはもどる形で、旅立った。

 

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— なんで金融にしたんですか?

 

マーティン: 

世界は金融で動かされているから。自分はニュース読むのが好きなので、ニュースで影響されている企業なんで。

 

日本語で働くけど、バイリンガルな環境。自分のバックグラウンドも活かせる。

日本人だけど外人らしさとか、外人だけど日本人らしさ。

そういう二つの面が両方活かせる仕事だと思っているので。

 

一番の理由は、東京で何年間、長期間働くことにする場合は、やっぱり成長できる環境で働かないといけないと思うので。

自分に合わない企業に入ったら、出世もしないし、自分のスキルも成長しないので、行き止まりに入ってしまうので。

 

いろいろな会社と面接して、印象がよかったのがこの会社で。

ここで働くことができれば、10年後の自分がちょっと楽しみになってくる。

 

Something like that. (そんな感じ)

.

 .

 — 日本で働くとなると、今後はマーティン名物の Jenglish (日本語英語) が Japanese (日本語) になっちゃいますね・・。

 

マーティン:

I know it’s bad. No, I think it’s good actually. (うん、最悪だよ。いや、いいことだ)

1年間あったらピュアな日本人みたいに話す自信があると思います。

 

 

— 自信があると 思う なんですね 笑

 

今はないけど。

あとであると思います。

 

 

 — 最後に。ブラウンでやり残したことは?

 

んー、

I wanted to double concentrate (二重専攻したかった)

 

今は 応用数学専攻だけど、古代エジプト学とか歴史が好きなので、それもやっといたほうがよかったのかもしれない。

 

最初の2年間、どの専攻やりたいか、

コンピューターサイエンス、経済、歴史、エンジニアリング…決められなくて。

 

古代歴史とかは自分の時間に本で読めることなので、特別そんなに落ち込んではない。

あとで、週末とかに読むことになるかもしれない。

 

 

Yeah and then

東京で就職した決断は良いと思って、結構楽しみにしている。

高校の友達もみんな戻るから週末とかも遊べるし、両親といっしょに時間過ごせることができるから。

 

新しいチャプターとしては、いい環境。

It’s good. It’s like a good chapter. It’s something new.

 

ここで会った人たちとかもう会えないから、それはちょっと寂しいけど。仕方がない。

 

 — ふむ、ふむ、そっか。何か最後に言いたいことありますか?

Nope. (ないね)

 

 

— オッケー、ありがとうございます。

 

 

< 編集後記 >

 

4年間ブラウンで生活して成長したからなのか、サッカーで怪我を負ったからなのか。

いつものJenglishはもちろん、真面目な一面も見ることができました。

日本で働く理由として、「友人」と「家族」を真っ先に挙げていたのが印象的でした。

 

マーティンありがとう!

ご卒業おめでとうございます:)

 

マーティンのこれまでの過去記事はこちら

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卒業熊特集 はじめに

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アメリカ時間の本日。

2016年5月29日は卒業式でした。

 

ブラウンの熊たちの第一世代にあたるメンバーの多くも、飛び立っていきます。

 

「いま、あの人は、何しているんだろう?」

「で、今後は?」

 

読者の方々も気になるところでしょう。

いや、というか自分が気になる。

 

同じキャンパスで暮らしているのを良いことに

個人的な好奇心のもと、先輩方に振り返っていただきました。

 

それぞれの、ブラウンでの4年間と、今後の話。

 

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そういや、バカだった

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今学期は、かなり面白い授業をとっています。

 

CLPS1291

Computational Methods for Mind, Brain and Behavior

 

脳や人間の行動をコンピューターで再現しよう、みたいな。

全然訳ちがうけど許してください。

 

三秒で授業紹介:

 

 

えー例えば、人の場合、写真を見て、

これは「顔」、これは「マラカス」って一瞬で判別できるけれども、

機械の「顔認識」とかは、大量の顔写真を見せて学ばせるわけです。

他にも、文章の単語の頻度などから、筆者を推定させたり。

 

機械学習、画像認識、多次元尺構成法、神経回路のシミューレーション…などなど

人間の脳みそが普通にやっていることを、機械でやってみようという授業です。

 

 

アドバイザーでもある教授に「プログラミングの経験はいらないよー」と言われ

使っているのもMATLABといって簡単な言語なので、

ワクワクしながらとった授業なんです、が。

 

初回の課題から、つまずきました。

 

 

とにかく

わからない。

 

授業でコンセプトを教えてもらい、

それとは別にプログラミングの方のMATLABの使い方講座も用意されています。

 

毎週1つ課題がだされるのですが。

問題文を何回か読んで、あっれーとなるわけです。

 

 

どこか具体的なこの部分がわからないとかではなく、

そもそも、なにから始めていいのかわからない。

 

 

でもまぁ大丈夫

教授補佐 ( TA ) がアドバイスをくれる時間があります。

 

IMG_4455

自分の番に教授補佐が来るのを待ちながら、カタカタ打つ

 

すでに何人かが机の上にパソコンを開いていて、画面に向かう人々。

長居を予測して、宅配ピザを、頼みだす人々。

 

しばらくいると、

自分よりあとから来た人が、解決したのか、ぽつぽつと去っていき。

 

頭もぼんやりしてくる。

でも、早く終わらせなきゃいけない。

 

パソコンに、てきとーに打って、

「ブブ」という聞き慣れた音とともに「エラー」の赤文字が表示される。

 

 

深夜を過ぎた頃には「さぁこのコマンドはうまくいかないぞ。ほら来た!ははは」

と、喜びを見出すようになった私は、いま思えばこりゃちょっぴりイカれていたきもする。

 

「あーだめだ」と思って一旦深呼吸しても

ピザのチーズと油の匂いが空気に充満していて、余計、気持ち悪くなり

 

そうして、数時間居座ったけれども、

これ以上いても進歩はないと予測して、パソコンを閉じた。

 

 

 

あー。と思う

 

 

なんで、できないんだ。

自分はバカなんじゃないか。

と。

 

 

夜の寒さのせいか、授業初日のやる気は嘘みたいに冷めていて、

もはや、課題、提出しなくてもいいんじゃないかな、と考えながら寮にとぼとぼ向かう。

 

——

 

 

「プロだって、つまずいたら、いちいち、どうやってやるかgoogle で検索してんのよ」

とルームメイトは言った。

 

 

 

「数学の宿題でさ、分かんない、答え教えて、ってすぐいってくる友達がいたのよ。

とりあえず提出しなきゃいけないから、解こうとするんだけど、

そもそも式の意味を理解してないから、解けない。

 

締め切り間際だと特に、手を動かさなきゃって気持ちはわかるし、解きながらわかることもあると思うんだけど、

最初に仕組みをある程度理解してからの方が、効率が良いときもあるのよね」

 

 

 

たったそれだけの言葉でふっと私は姿勢を正した。

 

なんてこった。

 

誰だって経験してる。

誰だってエラーを何度も出して、ヘルプの画面を何回もみて。

それは「当たり前」のこと。

 

それが5回目だろうが、12回目だろうが、

何個目かに開いたヘルプ画面を読んでやっと「おー!わかる!」の瞬間に出会うわけで。

 

それが、あんた奥さん、始めたばっかの人が意味もわからずにてきとーにカタカタ打って、

よぼよぼしている積み木の上に、てきとーに何かを乗せて

そんでもって思い通りの結果が出ないで「あーもーだめだ」と放り投げるのはおかしな話でしょうに。

 

最初は誰だってわかんないんだから。

初心にかえれー。ですね。

 

自分はバカなんじゃないかってあんた、その通りよバカだから。

バカだから学ぶんじゃない

 

結局、何時間かかったかはもはやわかんないけど

初回の授業からノートをみかえし、youtubeの講座を見て、MATLABのヘルプ画面をみて。

提出することができました。

 

 

めでたしめでたし。

 

 

1年目にとった栄養学の教授も生徒の質問に対してこう答えていました

 

「いい結果が出ないのは、

そりゃあんた、いま、毎日、食べてるものが問題なんでしょ。

それを、変えりゃいいだけよ」

 

鮮やかな色合いのソーダを飲みながら言っていた

おばちゃんだけどどこか的を得ているような気がします。

 

うまくいっていないとき。

焦っていたり、落ち込んでいたりするとより一層そうだけれども、

そのままの方法を続けるんじゃなくて。

 

やり方を見直し、原因をみつけ、変えなきゃいけない。

というか変えるだけ。

 

なんじゃないかしらね。

 

なんか全体的にオカマ口調になってしまったけど

とにかく4ヶ月でかなり学びました。

なので嬉しいです ふっふ

 

 

 

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Who’s helping whom?

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今日は、カンボジアの新年なんだよ。

とルームメイトは言った。

 .

.

部屋の壁に貼られている、アンコールワットが中心に描かれている国旗を背にして

彼女は、ベッドに寄っ掛かり、

「知り合いの、カンボジア人の家族のお宅で祝うんだ」と言った。

いつも通り、貴亜も来なよと誘われ、行ってもいいのかなと渋っていたが

.

「招待された人はみんな歓迎。そんで、今、私は君を招待したよ。 」

という彼女の言葉に背中を押されて、行くことにした。

 

 

家に着き、わんさか集まる人たちの間で交わされていたのは

会話のキャッチボールというより、ドッヂボールだった。

食卓の上で、次々と話題が、恐ろしいスピードで行き交う。

 

私たちは難民としてカンボジアから来て、血は繋がっていないけど、この家で住んでいる。

という話をしていたかと思いきや、

別の誰かが k-pop の話を被せてきて、なぜか専攻の話になる。

 
  

話題を投げかけた人に顔を向けようと、

頭を右に、左に、時には後ろに振り。

 

 

ルームメイトは、こんなところで育って、

よく、落ち着いて話を聞けるような人間になったなぁ。

と、ちらりと彼女を横目で見て、感心した。

 

「こんなところ」

 

自分の、ちょっとした感情にひっかかりながら。

 

食卓に並んだ、葉っぱに包んだねっとりご飯、餃子、海老のスープ、マンゴー、パイナップル。

今まで見たことのない食べ物を、

なにこれ!と私は指差し、ルームメイトは一つ一つ丁寧に説明する。

 

あ、と思う。

いつもと立場が逆だな、と。

 

 

ルームメイトは、私が経験してきた多くのことを、知らない。

 

エクレアを見て、「なにこれ」と。

味噌汁を見て、「なにこれ」と。

 

彼女が「なにこれ」と不思議そうに尋ねる都度、

なんでこんなことも知らないんだろう。

あーいろんなものを食べさせてあげたい、という気持ちになる。

 

でも。

だがしかし。

 

 

 

彼女はただ、違う経験をしていた。

カンボジア人が集まる食卓で、

初めて食べるねっとりご飯に「なんじゃこりゃー!」と言った私と同じである。

 

 

何かを「食べさせてあげよう」

「してあげよう」なんて気持ち、

言い換えるなら

 

  1. 相手は何々をもっていない / 経験したことがない。
  2. もっていれば、もっと幸せになるのだろうに。
  3. 幸せになってもらうために「してあげよう」

 

といった思考回路で、

 

ブックスタンドを使わずに、乱雑した教科書をみて、

東京ばな奈の小包装に感心する彼女をみて、

 

いつだって私は彼女を彼女してではなく、

こんなのを味わったことがない/知らない

かわいそうなカンボジア人として、どこかで思っていたのかもしれない。

そもそも、「かわいそうなカンボジア人」の概念すら、勝手に頭で作り上げているだけだけど。

 

だから、日本のお土産を渡して「ふーん普通だね」と言われると、

え、あげたのにその反応かいな、とがっかりしてしまう。

 

視野を広げてあげたい。

美味しいものを食べさせてあげたい。

 

純粋なはずの気持ちは

ただ自分の定規で他人の幸せを測っているだけなのかもしれない。

 

私は、彼女の知らないことを知っていて。

彼女は、私の知らないことを知っている。

 

ただそれだけの話。

ただ違う、というだけの話。

 

それなのに、

二年間一緒にいても、同じ部屋に住んでいても、同じものを食べていても。

自分の中では無意識に、上下関係が存在していた。

 

「助ける側」と「助けられる側」

「先進国」「発展途上国」

 

たらふく食べた帰り道

おばちゃんが家を出る寸前に、容器に詰め込んでくれた大量の餃子とマンゴー4個から伝わって来る重みを感じながら、いま自分が手に持っているのは何なのだろうと考える。

 

ーー

 

さて一体何が言いたいのかというと

「してあげよう」と思った瞬間、いろいろと考える必要があるのかな、ということ。

 

相手は本当にそれを求めているのか、とか。

 

「発展途上国」だとか「被災地」だとか、

そういったフィルターを通して見ているのかもしれない、とか。

 

気軽にボランティアに行くんじゃないよとかではないし、

つらつらとこんなことを書いているより、君は何をしているんだよって話だし、

何より大切なのは、誰かが他の誰かのことを想って行動している、ということなんだろうけど。

 

Letssaveafrica


.

.

Who’s helping whom?

誰が、誰を助けているのか。

 

そしてなんのために?

.

そういう話。

 

 

 

おまけ:

Let’s save Africa – Gone wrong (英字幕付き)

 

 

この投稿が私によって書かれたのと同じように、

この動画がノルウェーの方によって作られたということで、

もう一層、皮肉が加わっているような気がするけれども。

 

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ビアンカ

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はろー!きあです、お久しぶりです。

 

今学期は 言葉に関する仕事をしている、3人の素敵な人に出会いました。

まずは3人目から紹介します。

 

Bianca Giaever

 

 

映像制作とラジオのプロデュースをしている人で、

人の話を聞いて、それを元にラジオだったり、

文章だったり、短い映像だったりの作品を作っています。

 

もともと彼女の名前は知らなかったのですが、

ワークショップがブラウンで開かれると聞いて、のこのこと行ってみました。

 

 

よく考えてみたら、第一印象からおかしな人でした。

 

 

整った顔にぴっちりとした服。

….と反比例して、いま起きました感満載の髪の毛をありのままに結っています。

というか、束ねています、ゔあっさー、と。

草原で走り回っていたいたずらっ子が、そのまま、育った感じです。

 

言葉の仕事をしているわりに、

平均的な20代女性のように「oh my god」 と 「like」を繰り返すのが印象的でした。

 

 

社会人として大丈夫かしら、と心配になりながら

教室で、彼女の作品を観ますが。。

 

これがケッコー、好きでした。

脱力感といい。なんといい。

でもさりげなーくメッセージ性があるところも。

 

見た映像は両方とも、インタビューの録音を使って作られたものです。

どちらも7分程度なので是非!辛抱強く最後まで見てみてください

 

Holy Cow Lisa 

 

授業の課題として作ったもの、とのこと。

大学のアドバイザー(教授)に失恋話を打ち明けた時の録音。

教授に恋愛相談を持ちかけること自体、なかなか謎な行動ですが、それ以上に

元彼も同じ授業を取っていたため、出来上がった作品を授業中に上映した時「とても恥ずかしかった」と後々、彼女は語っています。

 

※ 動画のサイズがおかしいので、こちらからも見られます

 

 

.

.

The Scared is Scared

6歳児に「映画を作るんだけどどんな内容がいいかな」と聞いて、

実際に彼の話を元に、短い作品を作ってしまう。

これ、ステキ!

 

こちら からも見られます

 

 

 

あとで彼女のホームページを見てみたところ

他にも作品があり、全部見てしまいました。

 

随所、突っ込みどころがあり

例えば仕事の経歴ページでは彼女がひたすら、ピザをもぐもぐしている様子が載っています。

しばらく眺めてみましたが、何か深い意味があるのだろうかと考えるだけで無駄だとおもいます。本当にただ、ピザを食べているだけのようです。

 

 

さて、教室では、

作品を見終わり、Q & A の時間になりました。

 

作品としてではなく、企業の広告として映像を作った時は

「お金は入ってきたけど、規制が多くていやだったー。もう一生やりたくない」

 

と、本音で語ってくれ、

クリエイティブな作品を作る人として、今後はどう生計を立てるのか

という質問に対して

 

「うーんわかんない、15年後に聞いてちょ Hahaha」

 

 

と最初から最後まで安定したてきとーっぷりであります。

 

唯一まともなことを言っていたのは

人にインタビューするコツについて、

客観的な情報なんてないよ、と彼女が答えた時でしょうか。

 

「どんな質問をするか。

相手が答えた中でどの部分を使うか、ぜんぶ私が選択している。

人の話を使っているけど、結局は、私がその人の物語を伝えている。」

とのこと。

 

年齢も若いせいか、とても接しやすかったビアンカさんですが、

情報の客観性・スピード・正確性 といった典型的なジャーナリズムではなく

 

客観性?んなものはもともとないんだから自分色に染めちゃお〜、

という

語り手の存在をむしろ、むんむん出しながら人の話を伝えるその態度や

髪の毛は乱れているけど、人生を楽しんでそうな感じに、惚れてしまいました。

 

 

 

I know no one else could have made it.

 

この作品、私以外の人は誰も作れなかったよ。

 

にっと、いたずらっぽい笑みを浮かべて言う彼女の姿をみて

 

 

なんだか

ようやくワクワクすることが見つかってきたっていうそういう話。

 

すんませんただの日記ですとても素敵な出会いでした、っていう

 

 

意識が朦朧としてきたのでねますー

おやすみなさい!

 

 

素敵なビアンカさんのその他の作品はこちらから

 

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Chick’n

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野菜しか並んでいないはずのところに、チキンが置いてあった。

 

 

大学の食堂は、真上から見ると、左右二つにわかれている。

入ってすぐの左側は、肉類、稀に魚類、パスタ、ピザなど約10種類が並んでおり、

反対側、食堂の右半分には菜食主義の人、専用のコーナーが設けられている。

 

そして、この菜食主義コーナーで見つけたのである。

チキンを。

 

 

思わず二度見をしてしまったが、目をこらすと Chick’n と書かれてある。

つまり、Chickenではないようだ。

発音するのであれば、チッ(キ)ンである。なんとも軽快な響きだ。

IMG_4456 (2)

 Breaded Chick’n

 

しかし、考えてみると、菜食コーナーはそんなものばかりで、

Chick’n の横にあるのは、ハンバーガーの肉もどき、である。

 

様々なものを刻んで固めた痕跡のある、”肉っぽい何か”

モザイク模様が施されているそれは、パンの間に挟むより、飲み物を置くコースターにしたほうが良いのではないかと毎回思ってしまう。色も鮮やだしね。

 

 

 

そんな具合にChick’nをしばらく観察していたら、

同じことを考えていたと思われる人たちの、会話が耳に入ってくる。

 

 

「これ、本当は何でできてるんだろうね」

「ここベジタリアンのコーナーだし、豆腐じゃない?」

 

 

生徒ではなく、食堂の人たちが、やたら明るい口調で言葉を交わしている。

 

視線を上げると、

ずずーっと音を立てながら黒い液体を飲んでいるおばちゃんが、

隣の若い食堂の男性に話しかけていた。

 

 

少し考えた後、食堂のおばちゃんは言ったのである。

 

“I don’t know what it’s made of —

まぁ、何からできてるかは知らないけど、

 

 

 

but I know it’s not chicken”

チキンでないことは、確かね。

 

 

間といい、表情といい、なんだか発言が深いっぽい。

隣の男性は興味なさそうに、拭くところの残っていない銀色のカウンターを、布巾でこすっている。

 

 

 

 

さて、Chick’nは、鶏肉とは違うと控えめに自己申告しているのでまだ良いが、

食堂の反対側で提供されている “Chicken” も、なかなか怪しい。

全部同じ形で、噛んだ時も、なんというか、繊維が、整っているのである。

 

 

その横にある、かごの中に積み上げられているりんごたちも、そうだ。

春夏秋冬、同じスタイルを維持している。

ボディビルも息を呑むような輝きを放っている、テカテカのりんごたちは、

りんごの木から採れたものじゃなくて、一つ一つ工場で作られているんだよ

と言われてもおかしくないほど、全員、同じ姿形をしている。

 

ちょっとだけ、ワックス塗っちゃおっか? から始まり。

これ、りんご丸ごと、工場で作れんじゃない?

作ろうかしら。みたいな。

 

 

とりあえず、りんごを手に取りChick’nを写真に収めようと

ちらりと先程のおばちゃんと男性をみると、

 

名言おばちゃんはまだ、Chick’nを眺めていた。

そうしておばちゃんは、カウンターを拭く若い男性の背中に向かって一言、発したのである。

 

 

“Whatever this is

 これが何であったとしても、

 

先程と同様、間が数秒。

 

we gotta keep on movin’ ”

私たちは前に進まねばならない」

 

 

 

彼女の発言は、深そうで、深くないのか。

深そうで、深いのか。

 

とにかくひとつ確かなことは、

すべて名言のように聞こえる、ということだ。

 

 

手にとっていた、りんごを囓る。

先週、食べたのと同じ味、おいしすぎず、不味すぎず。

最低限りんごを食べているとわかるような、安定した、りんご味。

 

 

やっぱこれ、工場で作られているんじゃないかな。

 

まぁ、前に進むけど

 

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部屋に住む Episode 6. はじまりのあとがき

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ルームメイトが、部屋の壁を眺めて、にやにやしています。

 

視線の先にあるのは…

 

 

“Room Quotes”

部屋で発せられた、名言集。

と書かれた紙。

 

一緒に住みはじめた、1日目から貼られています。

 

 

お互いの発言で、印象に残った言葉を紙に書き留める、というシステム。

元・ルームメイトとやっていたからやろうよ、という彼女の提案です。

 

 

「2月3日の、この貴亜の発言」と、笑いながら紙を指差しています。

書かれていた名言は

 

”What is paper?”

紙って、何?

 

 

どういう状況で言ったんだっけ?

と私は尋ねながら、あー、とすぐに思い出します。

 

 

レシートを、「ゴミ箱」に捨てるべきなのか、

「リサイクル」として捨てるべきなのかわからず、

どっちなのよもう、と私が発した言葉でした。

 

「紙って何って…. 深いね。」と彼女はけらけら笑っています。

 

 

他にも私の名言を読み上げてくれます

 

“Seafood is sea food?”

シーフードって シー (海) のフード (食べ物) なの?!

 

“Afternoon is after noon?”

午後って noon  (正午) の after (あと) なの?!

 

“What is the difference between cousins and aunts?”

いとことおばさんの違いって、何?

 

 

と、なんとも、IQが低そうなものばかりです。

 

それらを読み上げ、体を曲げながら愉快に笑っています。

 

 

 

**

 

 

 

「一緒に住めないようじゃ、友達じゃないんじゃない」

とルームメイトが以前、言っていたのを覚えています。

 

 

なんだか極論であまり理解できなかったので

どういうこと、と聞いていました。

 

 

「高校の時はさ、始まりと終わりがあったじゃん。

同じクラスで授業とって、人数も少なくて、ずっと一緒にいて。

卒業っていう時が、明確に分かれ道として用意されていたから

その日が、卒業する日が、

最後にこの人たちと会う日なんだろうなって、いちおう心の準備ができる。」

 

うん。

 

「でも、大学になると、みんなが同じ授業をとるわけじゃなくて。

人も多いし、特定の人と毎日一緒にいるって、なかなか無いなぁ、って。

 

1年生のとき、ずっと朝ごはん一緒に食べていたA子が、

いつの間にか、道端で偶然すれ違ったら hey! っていうだけの関係になっちゃったりさ。」

 

 

ふむ。考えてみれば、数年後、振り返った時に

あー 、あの人と最後に会ったのはこの瞬間だった。

と思い出せるような別れは、どれくらいあるのでしょうか。

 

 

「友達とかって、関係を築くのは難しいのに、

ほんと簡単に、なんもしなくても

というかなんもしないと、少しずつ離れていっちゃうんだなぁって。

風船みたいにさ、手、はなしたら すーって、いっちゃう。」

 

 

「だから、大切だと思うなら、離しちゃいけないし

ちゃんと、努力して、繋ぎとめておく。

一緒にいたい人と、一緒にいる。」

 

 

・・・

 

ふふふ、と彼女は笑います

「ドラマのセリフだけどね」

と。

 

 

思えば、そもそも彼女と仲良くなったきっかけも

まだ、たいして親しくなかった時に「昼食、食べよう」と

急に彼女が誘ってきたからでした。

 

 

じゃあ、あの時の誘いは、

私のことを大切な人として思っていたからなのねっ・・

と多少、気持ちわるめに聞いてみたら

 

 

「あー、ごはんに突然誘うのは、いろんな人に対してやってるよ」

としっかりと答えてくれました。

 

がっくり。

 

 

 

 

 

なにはともあれ、一緒に住むことになり

今、2人で、壁の紙を読んでいます。

 

 

たった、一つの発言でも

数行読むと、あーら不思議。

その時の、出来事がふっと、蘇ってきます。

 

 

 

紙を読みながらあははと笑いだすと

「何よ」 と言われます。

 

これこれあなたの発言。12月5日の。

 

「幼少期、サンタは信じなかった。

なぜなら家に、煙突がなかったから」

 

って笑

書かれてはいないけど、

そのあと「貴亜がサンタを信じていたのは、家に煙突があったからでしょ!」と言われたのも思い出します。

 

 

「それも面白いけどさ」

彼女がぷっと笑います。

 

「そのもっと下の ふふふひひ、貴亜のやつがいいよほほほ。」

すでに笑いをこらえてます

 

どれどれ、

まだ見ていないのにこっちも笑えてきます。

 

 

これこれ

 

「”What is paper” (紙って何?)って Hahahaha」

 

爆笑しています。

 

またそれかい。

 

 

そうでした。

彼女は、すでに見たたことのある動画でも、

毎回、飽きずに、同じ箇所で笑う類の人間です。

 

 

 

“Room Quotes”

1枚目は青いきれいな画用紙だったのに、

2枚目からは、ただのぺらぺらのルーズリーフ。

 

いまは3枚目です。

 

 

これからも、きっと増えるかな。

 

 

おわり。

 

 

 

 

 

 

< あとがき >

 

連載をやってみて思ったのは、なかなか難しい!ってことでした。

 

初回が「である調」だったのに、

2回目から「ですます調」のほうがしっくりくると気付いてしまったり。

そもそも、内容が連なっていないわねと、気付いてしまったり。

 

あえて写真を載せていなかったのも、

どれだけ文章だけで読んでもらえるのだろうかと

試してみたかったからでしたが、やはり写真は載せたほうがいいですね。

 

今回、自分は何について一番、書きたいんだろう

と考えた時、出た結論が、ルームメイトとの生活でした。

 

そんな感じです。

次回からはふつうにもどります

ありがとうございました (・v・)いひ

 

.

< まとめ >

部屋に住む Episode 0. はじめに

部屋に住む Episode 1. パイナップルと狂ったピアノ少年

部屋に住む Episode 2. 図書館

部屋に住む Episode 3. 喧嘩とシチュー

部屋に住む Episode 4. 人の存在

部屋に住む Episode 5. ベーグルで休止符を。

部屋に住む Episode 6. はじまりのあとがき

 

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部屋に住む Episode 5. ベーグルで休符を。

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ルームメイトは食べるのが、とても遅いです。

 

健康のため、とかマナーとか、そういうことではなく

ただ純粋に、のんびーりと食べます。

 

 

「そういえば、以前、部屋でベーグルを食べていたら、1時間以上経っていた」

 

と言っていました。

 

 

「ぼんやり窓の外の鳥を眺めていたり。

食べているベーグルの断面を見ていたら、

いつの間にか時間が過ぎていた。」

 

とのこと。

 

 

 

ベーグルといえば、あのドーナッツ型のもちもちしたパン。いくら歯ごたえがあるといえ、手軽に食べられる系に分類される食べ物です。

 

それを一時間、しかも一人で。

会話もせず、他になにもせずに、ただ「食べる」

 それって、なかなか難しい。

 

***

 

食事の時だけではなく、思えば、

彼女は普段から急いだり、詰め込んだり、しないようです。

勉強をしているときも、

必ず1時間に一回、休憩しています。

 

彼女のパソコン画面には、定期的にヨガポーズのアイコンが現れ、

20秒間、作業ができないようになっていて

.  

ヨガのアイコンが表示されると、

 

「さぁ、貴亜もほら、立ち上がって!!きゅうけーーい!」

と、促してきます。

 

しっかり巻き添えになり、立ち上がりますが、

確かに、たった20秒間でも、ふっと画面から目線を外して

 

窓の外を眺めるなり。

部屋の静けさを、楽しむなり。

そもそも何時間もこんつめて集中なんて、

締め切り間際じゃない限りできないので、良い切り替えになります。 

  

外からばたばたと音が聞こえる時は、

彼女が部屋を出て、廊下で飛び跳ねているのだとわかります

「なにやってんの」とツッこむ私に対して、多少息切れしながら笑いかけ、

すぐに真顔でパソコンに向かうので、尊敬します。

.

***

.  

ふと、

ストレッチをしながら思います。

自分は、きちんと、意識して休んでいるのだろうか。と

 

ご飯を食べながらニュースをチェック。

歩きながらメールを送り。

休みの日も、なにかしなきゃと予定を入れる。

.

 

時間を埋めて、いつも足早に、どこかへせっせと向かって。

.

そのまま、せっせせっせと歩いて、そのうち30歳になって。

40歳でも早歩きをして、100歳。

 

100歳になっても、

どこかに急いで、歩いているのかしら。

  

どこに? 

 

 

私は果たして、他のことは何もせずに、

ベーグルを、1時間かけて食べることはできるのでしょうか。

.

***

.

数日後、寮の部屋。

  

スマホの電源を切って、椅子に腰掛けます。

部屋に持ち帰った茶色い紙袋の中から、あふれんばかりのクリームチーズが挟まったベーグルが顔を出します。

 

時計を確認し、

さて、開始。

   

一口目。

うん、美味しい。

 

そのままもぐもぐ。

いつもより意識的にゆっくり噛みます。

 

最初は食感を楽しんだり、白い壁を観察したりしていましたが、

 

あぁ、本、読みたいな。

課題やんなきゃなぁ。

こんなことに、時間を割いている場合ではない、と

ただ食べているだけ の自分に、徐々に焦りを覚えます。

 

 

 

結局。

40分で断念しました。

 

 

そもそも目標の時間を決めて食べるのと、自然と1時間経ってしまったのでは、ワケが違うし、

 時間の無駄だったかもしれない、と思ってしまった時点で、真に「食べる」ことはできていなかったかと思います。

ベーグルでも、鮭おにぎりでも、なんでも。

 

「ながら」じゃなくて

ただ、「食べる」

 

 

どこかに向かっている足を、

自分の意思で、ふっと止めて、

ただぼーっと、数秒、「立ち止まる」

   .

走り続けるのも素晴らしいけど、

書道でいえば余白があるから美しくて、

楽譜も、休符があるから

ふっと音が止まる瞬間があるから、美しい。

きっと。

.

.  

.

 ***

とりあえず、さっきインストールしたばかりのアプリのおかげで、

ヨガの画面が出てきたので、

休みだーーー!とルームメイトに言って、部屋を飛び出しました。

 . 

廊下の端から端までダッシュすると、なんとも言えない爽快感が。ジャンプするたびに、頭も体も、軽くなります。

あと3秒くらいかな。

ドアを開けて、スキップしながら部屋に戻ると、

彼女と目が合います。

「きあ、理解に苦しむよ」

と、呆れ返る、ルームメイト。

肩をくるくる回しながら部屋を前後する、変な体操をしています。

.

 .

 .

そんな彼女と、今日も明日も、

一緒に部屋に住みます。

.

おわり。

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