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日記が書けない人の旅行記:ニューヨーク〜パリ1日目

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皆さんお久しぶりです。
いやあ春ですね。
まだまだこちらは暖かくなったり寒くなったりですが、「今は唯やってみよう。春が訪れるまで今は遠くないはず。」って感じです。

 

さてさて。

 

前回の記事を書いてから、ブラ熊も少し変化しましたが、僕は今まで通り書きたいことがあれば書くスタンスで、細々とやっていこうかと思います。

 

今回は春休みの旅行について。

 


皆さんは「観光」が好きだろうか?
僕はあまり好きではない。のっけからバッサリ言い切ってしまった。正確に言うと、観光名所を唯巡るというのが苦手なのだ。個人的な興味がそこにない限り、いわゆる観光名所には行ったことが無い気がする。これは恐らく育った環境のせいだと思う。というのも、僕の親も旅行や観光といった類のものにかなり否定的だったからだ。

 

 

ほとんどの人が中学生や高校生の時に修学旅行や遠足に行ったと思う。スポーツをしていた人であれば、それに加えて部やクラブの合宿にも行っただろう。僕自身もずっとサッカーをしていたので毎夏数回は合宿で伊豆やら飛騨高山やらに行っていたし、 チームの海外遠征で、ブラジル、スペイン、オランダにも行った。定番の京都や奈良ではなかったが、中学生のときには修学旅行と銘打った短期語学留学にも行った。
修学旅行や合宿といえばお小遣いをもらって家族や友達にお土産を買ったりするものだと思うのだが、僕の親は何故かいつも「お土産なんて買ってこなくていい。友達に買いたいのなら自分のお金で買いなさい。」という方針だった。ブラジルに行ったときですらこの調子だったので、これまでの人生で木刀や地方の銘菓のようないわゆるお土産を買ったことがほとんどない。なので、鎌倉の土産屋の店先の傘立てのような筒に雑然と入った木刀の束を見て、「なんだか学生の頃を思い出すね。」的な寂寥感を覚えたことも無いし、東京で 地方から来た修学旅行生が東京土産をどれにするか悩んでるのを見かけると、妙な敗北心と嫉妬心すら覚える。

 

 

お土産懐疑主義だけでなく、僕の親はバケーション懐疑主義の信者でもあった。記憶の限り、家族旅行に出かけたことは今まで一度もないし、ハワイやグアムなどのリゾート地にも一度も行ったことがない。小さい頃に親の仕事の都合でニューヨークには何度か行ったことはあるが、どれも短い滞在だったので、時差ボケでほとんど寝て過ごしていた。唯一の観光らしい観光であったブロードウェイでのミュージカル鑑賞では、見事に開始5分で爆睡し、演目がライオンキングだったのにもかかわらず、主人公のシンバを見ぬままエンディングを迎えてしまった。そんなお土産・バケーション懐疑主義の教えの元で育ったこともあり、未だに旅先でお土産を買わなくはいけない場面に遭遇すると、何を買えばいいのかわからなくなるし、「ただ観光をする」というのがどうにも苦手なのだ。
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昨年から始まった就職活動もほぼ終わり、あとは手元に残った選択肢を吟味して最後の決断をするだけになった。当然就職活動をしていく中で、自分が何に興味を持ち、どんな仕事にやりがいを感じ、これからどういう世界で生きていきたいのかについて、自分なりに考えてきた。そのプロセスの中で気づいたのは、目に見える「ヒト」が紐付いていないと、僕は仕事にやりがいを感じれそうにないということである。要するに自分の仕事の先に「ヒト」が鮮明にイメージできる仕事でないとダメなのだ。例えばいま運営しているコーヒーショップでは、お客さんという「ヒト」と自分の淹れるコーヒーがシンプルに結びついているからこそ、僕はやりがいを感じているのだと思う。そしてそういった類の仕事の中でも、とりわけ「ヒト」と「モノやサービス」が交わる時に生まれる経験を設計することに興味があることにも気づいた。ファーストキャリアの選択が、必ずしもこの興味に直結した仕事になるかは分からないが、興味を探求する為の下準備にはうってつけな仕事にはなりそうである。
1ヶ月ほど前、久しぶりに母親と話し、就職活動の進捗状況と考えている仕事の方向性について伝えると、「いいモノとかサービスを取扱おうと思ってる人が、まともにヨーロッパに行ったことが無いっていうのはまずいんじゃないの?」と言われた。僕の母親は稀に無責任だが筋は通っている発言をするのだ。前述の通りスペインとオランダにはサッカーの遠征で行ったことがあるし、ロンドンには大学を見るために数日間だけ行ったことがあるが、それ以外でヨーロッパに行ったことはない。母親の言うことももっともだと思い、これまでのプロビデンスと東京の行き来で、丁度ヨーロッパへ往復で行けるくらいのマイルは貯まっていたので、僕は春休みを使ってヨーロッパに行くことにした。検討の末、いくつかの都市が候補に残り、複数都市を廻ったり一つの都市に滞在したり、様々なオプションを考えた挙句、パリに1週間行くことにした。
行き先が決まれば、航空券をマイルで購入し、宿を確保し、パリ近郊に住んでいる高校時代の友人に連絡をするのに、さほど時間は掛からなかった。とりあえずパリに行って帰ってくる準備だけが済んでしまうと、僕はこの旅の目的について考えることにした。バケーション懐疑主義の敬虔な信者の元に育った僕の頭に、「とりあえずパリの名所を観光して、ワインでも飲もう」という考えがよぎることはあるはずもなく、代わりに1週間の滞在をどんな目的を持って過ごすかだけを考え続けることになった。
納得行くまで考えた末、メモ帳にはこんな箇条書きが残った。
  • 見たいものがある美術館にできるだけ全て行く。
  • 足を運ぶ価値のある建築になるだけ多く足を運ぶ。
  • 写真以外の方法でもこの旅についての記録を取る。
「できるだけ」や「なるだけ」といった言葉が、無謀な旅程を計画することを促しているようにも感じたが、僕はそんな懸念を無視して、3点目について具体的に考えることにした。(実際にこの後無謀な旅程が出来上がり、その旅程を完遂しなくてはならない強迫観念を抱えて1週間を過ごすことになるわけだが。)
旅行先でスマートフォンやデジタル一眼レフを片手に写真を撮るのは簡単である。後で見返す時に便利だし、ほぼ無限に記録を取り続けることができる。しかし僕の経験上、その時写真を撮るだけ取って後で見ないことも多いし、写真だけ見てもその内容は思い出すが、その時何を考えていたのかは思い出せないことが多い。あるいは写真だけで、その時の記憶を完璧に思い出すことができる人もいるのかもしれないが、僕にはそんな芸当はできない。写真以外の記録方法となると、文章か録音くらいである。どうせならと思い、僕はその両方で記録を取ることにした。録音はスマートフォンですればいいとして、日記を3日以上まともに書いたことが無い僕が、1週間も旅行記を書けるのか甚だ疑わしかったが、ものは試しだと思い、さっそく小さな無地のノートを本屋で購入した。そしてこの時点で、この旅行の3つ目の目標が、「毎日なるべく旅行記を書いて、録音できる場所では音でも記録を取る」というものに変わった。そして1つ目と2つ目の目標に従って、いつか懸念したとおり無謀な旅程が出来上がり、そうこうしている間に春休みになった。

 

 

 

結論から言うと、これまで日記を3日以上書いたことがなかった僕は、1週間(正確には8日間)旅行記を毎日書き続けることができた。これで晴れて「3日以上日記を書いたことが無い人」から「旅行記なら8日間書いたことがある人」になった。大きな前進である。実際の旅行記はノートに手書きで書いたが、せっかく「旅行記なら8日間書いたことがある人」になったので、ブログに載せようと思う。まともに日記を書けない僕でも、8日間も旅行記を書き続けることができたので、継続が苦手な皆さんも、これを機に是非何かに挑戦してみてほしい。非日常的な生活に身を置けば、案外簡単に苦手を克服できるかもしれないですよ。
 

はじめに

人に読んでもらうことを前提として書いた旅行記ではなく、あくまで自分の為の記録として書いた文章なので、読みにくいところも多いと思いますが、なるべく実際の文章を変えずに載せています。その代わりに、わかりづらいところには注釈を入れています。
この旅行記を書くのと並行して、ところどころ録音でも記録を取りました。よかったら各稿を読むのに併せて、聞いてみて下さい。ヘッドホンで聞くのを推奨します。
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2017/3/25 8:45am「ニューヨークのCulture Espressoにて」

予定より早く飛行機がニューアーク空港に到着。お陰で余裕を持ってマンハッタンに来れた。(注:ニューアーク空港で10時間のトランジットがあったので、空港の外に出ることにした。)Bryant Park近くのCulture Espressoで朝食を済ます。事前に調べたときには気づかなかったがHeart(注:オレゴン州ポートランドに拠点を置く有名なコーヒーロースター)の豆を使っているらしい。洒落っ気は1ミリもなく、地元の人が来るスタンドであることが伺える。その割にと言ってはなんだが、エスプレッソの調整は完璧で、コーヒーはとっても美味しかった。
僕が入店してすぐ、上下スエットのカップルが入ってきた 。そのカップルが連れていた子犬が、飼い主の女性が注文しているのを待つ間、か細い声でずっと鳴き続けていた。その後コーヒーを抱えて女性が席につくと、子犬は男性の右膝と女性の左膝の上に上手に座って、「2人は私のモノだ!」という満足げな顔を浮かべて、気持ちよさそうにウトウトしていた。そしてその横では見るからに寝間着姿の男性客2人が談笑中。その間にも、またもや寝間着姿の男性客が来店と、10分もしないうちに僕以外のお客さんは全員寝間着というなんともシュールな状況になってしまった。外の街並みは鬱蒼としているが、ニューヨークにも肩肘張らないこんなコーヒー屋さんがあるんだなと思った。しかしHeartのコーヒーはうまい!

 

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2017/3/25 10:45am「グッゲンハイム美術館にて」

 

初めてグッゲンハイム美術館に来た。渦巻状のこの美術館は写真で目にしたことはあったが、いざ中に入ってみると建物の内部の構造の緻密さに驚かされる。外観から分かる通り螺旋状になっているのだが、実際に中に入るとその構造が見学者と作品が自然に出会う為の構造であることに気づく。見学通路が螺旋状に一筆書きになっているので、見学していてほとんどストレスがたまらないし、迷うことも無い。
中ではピカソとカンディンスキーの作品が多く展示されていた。絵もかけないし、美術の知識もさほどない僕でも感じるのは、ピカソの画家としてのキャパシティの底知れない大きさである。ありとあらゆる異なるスタイルで名画を描き続けていたことを考えると、本当に恐ろしい。マイルス・デイヴィス然りだが、才能を持った芸術家の創作欲の底知れなさには時々身震いする。
建築について少しだけ書き足す。上から下に下がるにつれて気づいたのは、 通路を進むにつれて、すでに観た作品が視界の隅に見えることがあるということだ。螺旋という構造上、常にどこかでオーバーラップが生じるので、必然的に複数のレイヤーが重なり、自分がいるレイヤー以外のレイヤーにある作品も見えることになる。見方によっては、鑑賞者が2回、3回と作品と出会うことができる構造になっている。

 

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2017/3/26 10:00am「ピカソミュージアムにて」

 

無事にパリに到着。天気もよく気持ちのいい朝になった。若干寝不足だが、それを吹き飛ばすほど街並みが綺麗。
電車を乗り継ぎ、パリ北駅へ。とりあえずスーツケースを預けて、14時のチェックインまで時間をつぶす。手始めにピカソミュージアムへ。天候のせいもあるのか、中には柔らかく暖かい空気が流れている。特設展はオルガ・ピカソ展だった。オルガを描いた作品が山のように沢山ある。その殆どで彼女は椅子に座って斜め下を向いていた。微妙に違う角度やタッチで描かれた斜め下をむいた彼女のポートレイトを何枚も何枚も観ていると、徐々に彼女という人間が浮かび上がってくるような錯覚に陥る。それにしても本当に眠いけれど、美術館は楽しい。

 

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2017/3/26 11:30am「Fringeにて」

ピカソミュージアムの近くにあったので、Fringeというコーヒーショップに立ち寄る。 “Coffee, food, photography”のキャッチコピー通り、店内には写真集が何冊もあり、壁には大きく引き伸ばされた写真が飾られている。日本の写真家が好きなのか、壁に飾られた写真は全て日本人の写真家が撮影したものだった。
豆はCoffee Collective(注:デンマークの有名コーヒーロースター)、ロケーションはマレ地区、壁には日本の河川敷の写真、と文字にするとなんとも不思議な組み合わせだが、それぞれが不思議に調和している。
エスプレッソも上手に調整されていたし、ハンドドリップも美味しかった。隣のお客さんが食べていたサンドイッチも美味しそうだった。近所にほしい。

 

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2017/3/26 1:00pm「ロダンミュージアムにて」

 

眠気がピークに達してきた。クロークの場所がわからず庭を荷物を持ったまま周ってしまった。建物の中に入ってやっとクロークが見つかり、ほっとする。
ピカソミュージアムでは様々なタッチの作品が並んでいて観ていて飽きなかったが、ロダンミュージアムは特大のサーロインステーキを何枚も食べているような気分になる美術館だ。ただでさえ立体の彫刻というだけで作品の持つエネルギーが大きいのに、これでもかというほど筋骨隆々のロダンの作品は、なお一層作品の含有するエネルギーが大きい。庭に何体も並んだ背の高いブロンズ像に見下されると、今にも飲み込まれそうになって「何だかすみません。もうかないません。」と言いたくなってくる。
座ったらそのまま3日間寝れる程眠かったので、庭のベンチで少しだけ眠る。当たり前だけど起きたらまだブロンズ像はポーズを決めて仁王立ちしていた。眠ったことが功を奏したのか、はたまた時間が経ってロダンの彫刻に慣れてきたのか、徐々にブロンズ像に対する恐怖が和らいでくる。そして1つ1つの像と相対している内に、なんだか仏像を拝む仏教徒のような気分になってきた。金剛力士像を初めて見た当時の日本人は絶対恐怖を覚えただろうなと確信する。
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今週はここまでです。

 

来週は2日目以降の旅行記を公開したいと思います。

 

お楽しみに!

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